蛭田まい(以下蛭田):
いわき市の子育てにまつわる様々なお話を伺う『みんなでサポトーク』。12月のゲストをご紹介します。
「認定特定非営利活動法人パンダハウスを育てる会」理事長の山本佳子さんです。山本さん、よろしくお願いします。
山本さん:
よろしくお願いします。
蛭田:
前回はパンダハウスの役割について主に教えていただきました。福島市の福島県立医科大学病院に入院するお子さんとそのご家族が滞在、宿泊できる施設ということでした。
この病と闘うお子さんを近くで支えたいというご家族の思いをサポートするこのパンダハウス、パンフレットに施設の写真が載っていまして、手元にあるんですが、もう我が家のような温かみのあるお部屋ですよね。リビングがあったりと。
山本さん:
ありがとうございます。
蛭田:
びっくりしました。こんなにお家みたいなんだっていう風に。
山本さん:
そうですね、ほんとに理想とするのは我が家のようにというコンセプトですから。家庭的な雰囲気は大切にしています。作る時の私たちの思いが、ただ泊まれるところがあればいいのではなくて、お家に入った時から ほっとリラックスしていただきたいと思って作ってますので。ちょっと贅沢かもしれませんが、いい空間にしたいと思って、毎日ボランティアさんと一緒に頑張ってお掃除してる感じです。
蛭田:
お掃除もしっかりと。だからもう清潔感がお写真からもすごく伝わるんですよね。とっても綺麗です。
山本さん:
無菌室から出てそのままいらっしゃる方もいらっしゃいます。余病を併発してしまっては大変ですので、暑くても寒くても部屋の中は一定の温度に常に保てるようにしてあったりとか、一番気を配っているとこなんです。
蛭田:
隅々まで気をくばって。
山本さん:
居心地よく。
蛭田:
そうなんですね。皆さんが安らげる場所がここにあるということなんですね。 ただいまって言いたくなりますね。
山本さん:
ありがとうございます。
蛭田
実際に利用した方からはどんな声が届いてますか。
山本さん:
ここにいくつかお手紙で寄せていただいたものがあるので、ちょっと読ませていただきますね。そのまま読ませていただきます。
1人目です。
『お腹の赤ちゃんに重度の疾患があり、生まれてもどうなるかわからないという大きな不安を抱えてパンダハウスを利用しました。遠方で通うのが大変だった私たち家族にとって、赤ちゃんのもとにすぐ駆けつけることができるパンダハウスはとても支えとなりました。施設内はとても明るく清潔で、自宅にいるような雰囲気で、とても安らげる場所となりました。また、一緒に宿泊した幼い息子もパンダハウスのおもちゃが気に入り、退屈することなく過ごすことができました。スタッフの方々も温かく、とても親切に迎えてくださいました。また、費用も安く助かっています。小物一つ一つにも愛情がこもった手作りで、心がほっこりします。パンダバッジ、大切にしたいと思います。これからも、一人でも多くの利用する家族を支えていってください。』
もう一つです。
『今回は長期で利用させていただきました。 出産をして、子供がNICUに入院して5か月ちょっと。何度もパンダハウスを利用させていただきありがとうございます。会津からの通いで往復4時間と授乳の日々で疲れてしまっていた私には、パンダハウスの生活がとても救いでした。時間に余裕ができ、やっと1人の時間が持てました。施設もとても綺麗で、設備も整いすぎているくらいです。ボランティアの皆さんも優しくて心が温まります。子供が入院していると、それにかかりっきりになり、社会との関わりがなくなってしまい、孤独になりがちですが、同じ利用者のかたと会話する機会があり、コミュニケーションが取れて嬉しかったです。コロナ禍ということもあり、交流する機会が激減している現在ですが、パンダハウスをきっかけにお話しできて嬉しかったです。本当にお世話になりました。』
とか寄せていただいています。
蛭田:
皆さんほんとに助けられてるんだなって、感謝が綴られていて。
山本さん:
ありがたいことですけども、やはりご事情それぞれで、NICUとかPICUっていうところに子供さんが入られた お母様方、しばしばお見舞いに行かれたいと思うんですけれども、バックベッドがなくて、お母様は退院になってしまうんですね。やっぱりおっぱいを運びたいとか、それから何かあった時にすぐに駆けつけるところにいなくちゃいけないとかっていう制約があるんですけど、地元に戻ってしまったんでは駆けつけられないっていうことがあり、それでパンダハウスを利用されるって方々も結構多くいらっしゃるんです。
あと、残されてる小さな兄弟たち は病棟に入れないんです。これはコロナとかになる前からの決まりなんですけど。だから、病院で家族がみんなで揃うことができないんですね。だから、調子のいい時を見計らってパンダハウスとかにおいでになれれば、一家団欒が過ごせるということで、重宝していただいてるかなと思います。
蛭田:
大変な当事者だけじゃなくて、家で待ってるご家族も。兄弟とかお父さんとか、おじいちゃんおばあちゃんも寂しい思いしてますよね。
山本さん:
はい。家に残ってる小さな兄弟が久しぶりにお母さんと会えるのも、パンダハウスならではなんですね。だから、とってもそういった時間を大切に本当に過ごされているのがわかります。
蛭田:
なくてはならない施設ですよね。
山本さん:
そうですね。日々の日常を取り戻すっていうのは、闘病中にの人たちにとってはとっても大事なことなんじゃないかなと思うんですね。そこでちょっとほっと息がつけると、また頑張れるんじゃないかなと思うので、それをひたすら応援したいと思っています。
蛭田:
人を助けるのは人なんだなって思いました。もちろん施設なんですけども、人なんですね、きっとね。
山本さん:そうですね。私たちは病気のこととかなんかは全然伺わないんです。本当に今日は暑いですねとか、 寒いですねとか、普通の雑談しかさせていただかないんですけど、それこそが日常かなと思っていて。そんな黒子の支え方しかできていませんけども、お役に立ててるとありがたいなと思います。
蛭田:
そっか。日常、普通がそこには存在してる。設備も、すごすぎるっていうか、充実しすぎてるようなお話もさっき書いていただいて。利用者さんがほんとに、 我が家のように過ごしているんだなっていうのがすごくわかりました。安心できますね。
山本さん:
そうですね。おもちゃとかもいっぱいありますし、ほんとに散らかしていっぱい遊んでもらいたいし。
蛭田:
その辺は心配なく、過ごしていただけたらと思います。
このパンダハウスで、皆さんが一家団欒できたらいいなっていう思いをこう持ってらっしゃって、活動を続けているということですが、利用料なんですけども。1部屋あたり1泊1000円。そして、日帰り利用では1数500円ということで。これはもう経済的な負担が少ないですね。
山本さん:
そうですね。でも、この値段でも1ヶ月ぐらいお泊まりになると3万円になるんですよね。
病棟のテレビや冷蔵庫も100円のカードでやりくりしてますけども、 お子さんが小さかったり退屈したりすると、つけっぱなしだったりすることもあって、それも(月)3万円ぐらいになっちゃったりするかもしれないって言われる。やっぱり若いお母さん、お父さんに対してこれ以上の負担っていうのは大変かなと思うので、 ほんとに都合のいい話かもしれませんけども、皆さんで支えていただけたらと思うんです。将来大きくなって社会人となっていく子供たちですから、みんなの心と力とお金で支えてあげたいっていうのが願いです。
蛭田:
そうですね、ほんとにみんなの力でここに存在してますから。サポートを続けていきたいですね。
山本さん:
それが、感想文の中にも書かれてますけども、孤立した気分っていうのを、また和らげることにもなるのかなというふうに思っています。
蛭田:
そうですね。ラジオ聞いてる皆さんに、できることをお願いしようかなと思いますね。
はい。もうあっという間に今週もお時間となっちゃいましたので、今日はこの辺で終わり たいと思います。
みんなでサポトーク。今日は「認定特定非営利活動法人パンダハウスを育てる会」理事長の山本佳子さんにお越しいただきました。ありがとうございました。
山本さん:
ありがとうございました。
蛭田:
来週もいろいろなお話を伺います。どうぞお楽しみに。
<終わり>